超音波検査で胎児の口唇口蓋裂が判明するのは、だいたい妊娠20週以後の時期だ。もっとも、胎児の姿勢によってはよく見えなかったりして、出産するまで分からなかったという親御さんも多い。
超音波検査では口唇口蓋裂の他に、後頸部浮腫を測定することで心奇形やダウン症の疑いを見つけることもできる。また、最近では妊婦の血液を調べる、新型出生前診断もひろがっている。
そうした出生前診断で、突然赤ちゃんの異常を知らされた妊婦さんは、大きく動揺される方が多いだろう。口唇口蓋裂を告げられた時、私の妻はそういった様子は見せなかったが、私が妊婦健診に同行していなかったら、帰りの車の中などで泣いていたかもしれない。
驚きや悲しみ、不安の中で、妊娠22週未満であれば、「人工妊娠中絶」という選択肢が思い浮かぶかもしれない。妻の・・・私達の場合、稽留流産と、長い不妊治療と、激しい悪阻を乗り越えて授かり育った生命であり、その選択肢はなかった。出生前診断で何か異常が発見されたとしても、母体に大きな危険が無い限り出産する。出生前診断は、したとしても、出産までに正しい知識を蓄え、しっかりとした準備をするために行うもの・・・そう決めていたからだ。
しかし、妊婦さん、ご夫婦、そして家族の置かれた状況・・・なにより、胎児の状態はそれぞれ大きく異なる。妊娠の継続が母体に危険を及ぼす場合などで、やむなく中絶を選択せざるを得なかった・・・そんな方を何人か存じ上げているし、我が子をこの世に生きて産んであげられなかった辛さは、いくらか知っているつもりだ。
中絶は絶対にするな、などと言うつもりはない。ただ、その決断をする前に、妊婦さんは自分自身と、そしてお腹の赤ちゃんとしっかりと向き合ってほしいと思う。そして旦那様と一緒に医師の話をしっかりと理解し、十分に話し合って決めてほしい。口唇口蓋裂の子の事ならば、私達はいつでもお話しすることができるから、もしも話を聞きたいということであれば、連絡を頂きたいと思う。
いずれにせよ、しっかりと御夫婦で話し合い、納得して出された結論ならば、それが最善の結論だ。
私達は口唇口蓋裂の子を授かった。育児の苦労や心配事も多い。けれど、それと同じくらい、同じ障害を持つ子の親御さんと知り合い、励まし合うことで、何か大きなものを得ているような気がしている。そして何より、今こんな子と毎日楽しく暮らすことができている。
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