確定診断受けずに中絶 新出生前診断で陽性判定の2人
異常の疑いがある「陽性」と判定された妊婦2人が、その後の確定診断を受けずに人工妊娠中絶をしていたことが11日、日本医学会への取材で分かった。
同学会によると、2人は陽性と判定を受けた病院とは別の病院で中絶した。うち1人は、判定を受けた病院で結果に関する遺伝カウンセリングを受け、おなかに針を刺す羊水検査も予約したが、検査当日に来なかったという。新型出生前診断(NIPT)は「99%の精度でダウン症などがわかる」とマスコミ等で大きく報道され、あたかも、陽性と判定されれば必ずダウン症などであるかのような印象を持った人が大半ではないかと思われる。完全にマスコミのミスリードで、実際のところは異なる。
こうした検査の精度は、「感度」と「特異度」という2つの基本的な指標を理解していなければ、ただしく判断することはできない。私も、以下の記事で少しまとめている。
生後362日目 新型出生前診断の「陽性的中率」
もういちど簡単に言えば、新型出生前診断では、「陰性」と判定された場合に本当に陰性である確率が99.9%であり、「陽性」と判定された場合に本当に「陽性」である確率はそれほど高くない(年齢などによって異なる)。
つまり、陰性と判定されれば羊水検査などの、少しリスクのある検査が回避できる。新型出生前診断とは、それだけのものなのである。 しかし、当時の報道を鵜呑みにした人達は、その検査で陽性と判定されれば、確定のような印象をもっている。「出生前診断 99%」といったキーワードで検索してみれば分かる。
今回の2人の妊婦は、カウンセリングにもかかわらず、全く健康な胎児を人工妊娠中絶してしまったおそれがかなりある。自分が該当者だということは分かるはずだから、現在の報道で「異常がなかった可能性がある」と知って苦しんでいるのではないだろうか。こうした検査の精度の意味については、慎重に正しく、だれでも理解できるように報道されることが望まれる。
そして、それとは別の問題として、胎児の障害を理由にした人工妊娠中絶が認められるのか?という議論がある。日本では、出産による母体リスクが高い場合は別として、母体保護法では胎児の障害のみを理由とした人工妊娠中絶は認められていない。だが、今回のように多く実施されているのが現実だ。実態と即していない法律の運用はどうあるべきなのだろうか。
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昨日の息子は、ベビーサークル内で何も持たずに2歩進んだ。
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