2013年5月23日木曜日

生後21日目 矯正歯科受診2回目 ホッツ床装着

一週間前は退院2日目で、授乳もまだ不安が残る状態だった。矯正歯科でホッツ床の型取りとテープによる固定をして、「テープはこのままで、次は一週間後」と言われた時には、潰瘍が心配だったりして、果たして無事にその日が迎えられるのか内心は不安だった。

この一週間、頬のシートを貼りかえたのは1回。テープは1日に1回~2回交換した。今日の午後に2回目の矯正歯科受診をして、状態を見ていただくとともに、作成されたホッツ床の合わせを行う。



受診時間は先週と同じで要領もだいたいわかったので、今回は少し心に余裕を持って受診できそうだ。

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2回目の矯正歯科受診から帰ってきたところだ。帰宅時間に合わせて生保会社の方に来ていただいて、学資保険の契約も行った。

この写真はすでにホッツ床を装着した状態である。画像をクリックして拡大していただくとわかるが、ボタンと呼ばれる突起がでていて、それを左右斜め上から軽く引っ張るようにして落ちるのを防止している。

こちらの写真はもう少し分かりやすいかもしれない。装着時は舌の上に横にして入れるようにし、口の中で90度回転させる。そして上唇を巻き込んでいないかチェックするように指導を受けた。

頬のシートはやや上、目の下辺りに位置を変えられた。テープについては今までの横に渡す1枚を最初に貼り、その上から左右のテープを貼っている。左右のテープの先にはボタンに掛ける小さな輪ゴム(素材は違うのかも)を付ける。この輪ゴムの替えもかなりたくさん頂いた。

ホッツ床についての説明書も頂いた。概要は以下のとおり。

  1. ホッツ床は哺乳の機能を高め、上顎部の発育を促すための装置である。
  2. 初めての装着から2~3日は外れやすい。
  3. 定期的な受診が必要。
  4. 哺乳瓶の乳首は穴の小さなものを使い、吸啜力を高めるようにする。
  5. 清掃は1日1回、歯ブラシで行う。哺乳後は取り外さないこと。
  6. ミルクを戻しそうになったときは、慌てて外そうとせず、まずは横向きやうつ伏せにして吐き出させる。
次回は五日後、鼻の矯正具の装着の予定だ。

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矯正歯科の待合で、隣の隣の県から来られているご夫婦にお話を伺うことができた。高速だけでも2時間かかるような所から来られていると聞いて、思わず「○○(地方名)にはこういったところは無いのですか・・・」と聞き返してしまった。それが無いのだと伺って、つくづく私たちは恵まれていると思うと同時に、せめて県に1つは口唇口蓋裂のチーム医療ができる拠点が必要なのではないかと感じた。

そのご夫婦と9ヶ月のお子さんが来院されたのは、ホッツ床を踏んで割ってしまったから、とのことだった。緊急のことだから、旦那様がお休みをとるのも大変だったと思う。私達などは急げば30分ほどで通院できる場所に住んでいる。医大附属病院も同じような距離にある。こんなに幸運なことがあるがあるだろうか。きっちりと息子の治療を進めて行かなければならない。

2013年5月22日水曜日

生後20日目 学資保険


産後すぐに赤ちゃんの治療が必要な状態だと、なかなか高校や大学進学のことまで気が回らないものだ。しかし私たちは新生児の親としては高齢であるため、息子の面倒をそれほど長くみてやれるわけではない。せいぜい彼が20歳くらいまでだろう。それまでに自分の力で生きていけるようにしてやるのが私達の責任だ。

私達が暮らす市では、口唇口蓋裂のだいたいの治療が終わる頃までの子どもの医療費は無料化されているから、治療費は大きな負担にはならない。娘は高校3年生で、今のところ京都の国立大学を志望している。今の住まいからは通えないので、下宿とか寮に入ることになり、ここから4~5年かなりの額が必要になる。第1種奨学金がもらえればだいぶ助かるが、それでも楽ではないだろう。

こういう状況なので、目先のことだけを追っていては、いざというときに先立つモノがないということになってしまう。そこで生命保険会社の方にお願いして、学資保険の資料を作ってもらった。



これは毎月3万くらいの例で、誕生から掛け始めると大学入学時に250万円、その後4年間にわたって毎年125万円が返戻金(へんれいきん) として戻ってくる。返戻金を掛け金で割った返戻率は約112%。利回りだけで言えばもっと有利な商品もあるが、学資保険のいいところは、契約者が死亡した場合は以後の掛け金が不要なこと。もちろん妻と娘と息子を残して死ぬつもりは全くないが、リスクには備えておかなければならない。これと生命保険で、少なくとも息子が大人になるまでは、金銭的には大丈夫なはずだ。

重要なことは、こういったリスクファイナンスは父親としての義務の一部に過ぎないということだ。娘の進学をサポートしつつ、妻と協力して息子の治療を進めるのが目下の課題。まあ、いろいろ考えつつ、少しは余裕を持ちながらやっていく。



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自分の指で顔をひっかいて、泣いてしまうことがしばしばあるので、妻が生後2回めの爪切り。テープの貼替えは朝晩の2回ペースだ。次の矯正歯科受診は明後日。頬に貼っているシートをもう一度貼り替える必要があるかもしれない。

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日中なかなか息子が泣きやまなかったので、妻はまた私の実家に息子を連れて行ってきたようだ。私の実家は牧場だったので、どんなに泣こうが隣家に迷惑になることはない。ちょうど私の両親(それから巨大ネコ)が居て、授乳は母がしてくれた。



明日は午後半休を取得して矯正歯科へ連れて行く。ホッツ床を合わせる予定だ。


2013年5月21日火曜日

生後19日目 ダウン症出生前診断と人工妊娠中絶

3年に渡る不妊治療の末やっと息子を授かり、妊娠初期の悪阻の苦しみはあっても誕生を楽しみにしていた頃、ちょうど新しいダウン症の出生前診断法(NIPT)が今後国内でも実施可能になる、というニュースが流れた。

私達も高齢出産においてダウン症のリスクが高いことは知っていたので、どうしても気になるニュースだった。NIPTを使わない場合は羊水検査を行うことで確定診断ができるが、羊水検査には1/200~1/300の確率で流産の恐れがあり(実際、妻は産科外来看護師時代にそういう例を目にしている)、稀にではあるが母体にDIC(播種性血管内凝固症候群)を引き起こすこともある。NIPTならば確定診断はできないものの、高確率の診断が可能で、それが妊婦からの採血だけで済むためリスクがほとんどゼロとなる。

そんなニュースを見て妻と話した結果、羊水検査は行わないことにした(NIPTはまだ可能な時期ではなかった)。理由は2つ。羊水検査はリスクが比較的高い割に診断できるのは21トリソミーほか数種類の先天異常だけであること。もう一つは仮にダウン症であったとしても人口妊娠中絶などするつもりがないことだった。

その後、エコーによるスクリーニングで医師よりダウン症の恐れはほとんど無いと伝えられた。

もし2013年4月以後のNIPTが選択できる状況だったら、私達はどうしていただろうか。

19周5日でエコーにより口唇口蓋裂 を発見して頂き、準備がしっかりできた体験をした今の心境からすると、NIPTをお願いしてもいいのかなと思う。NIPTが陽性ならば羊水検査で確定診断になるが、そこで陽性と確定しても人工妊娠中絶は選択していなかっただろう。私は別にカトリック教徒ではないが、着床して心拍まで確認できた子は、すでに人格があるような気がするのだ。これは私達の考えであって、夫婦それぞれに色々な考え方があるだろう。

今日、こんなニュースがあった。

胎児にダウン症を「異常なし」出生前診断、逆に伝える 両親提訴 - MSN産経ニュース

羊水検査を行なってダウン症と確定したのに、陰性だと伝えてしまったらしい。生まれた子はダウン症の合併症で3ヶ月半ほどで亡くなったとのこと。

診断結果を逆に伝えたクリニック側のミスは責められるべきだろう。診断結果を読むスキルが無いことを晒してしまったわけだ。これに対して両親が慰謝料を求めているのは、「妊娠を継続するか、人工妊娠中絶をするか選択の機会を奪われた」 という点。少なくともこの両親は、ダウン症と診断されれば人工妊娠中絶を行う可能性があったわけだ。出生前診断でダウン症と診断され、人工妊娠中絶を選択する親は多いし、そのことを私が責められるものでもない。だが私は、ダウン症の子供は絶対に幸せになれないと、親が決めつけてしまうこともできないと思う。 以下のサイトをはじめ、様々な意見を聞いて判断してほしい。

公益財団法人 日本ダウン症協会|ダウン症を授かったご家族へ



それから、ダウン症の画期的な治療薬開発の可能性も出てきている。

ダウン症が“治せる病気”に? 発症メカニズムを解明 | あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

遺伝子そのものを治すことはできなくても、低下しているSNX27遺伝子の発現を高めることはできる。動物実験では神経の働きをほぼ正常どおりに戻すことに成功しているそうだ。もちろん人間への適用は先の話ではあるが、希望は少なくないのだ。

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 昨晩のミルクはお姉ちゃんが頑張ってくれた。今は育児が物珍しい感じだろうか。受験生なので、気分転換くらいのつもりでやってくれればいいと思う。

2013年5月20日月曜日

生後18日目 つわり止めの薬?

妻が激しい悪阻だったことは何回か書いたが、悪阻の吐き気を緩和しつつ胎児に影響が無いと思われる薬があるらしい。

吐き気止めは“つわり止め”に使える? 安全を検討 | あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

オンダンセトロン(商品名:ゾフラン)という薬で、デンマークでの調査の結果、早産・流産・低体重・先天性異常などのリスク上昇が見られなかったそうだ。

妻は悪阻で2箇月入院したが、もっと深刻な妊婦さんは更に長期間入院して、退院前には歩行リハビリが必要になる方もおられる。不妊に悩む方には贅沢に聞こえるかもしれないが、ご飯の匂いはおろか、太陽光やテレビの音すら刺激になって吐いてしまう状況が延々と続くと、もう二度と妊娠したくないと思うものだ。

妻が悪阻で入院している時期、毎晩病院に通ったが、いつも気丈な妻に「辛いよぅ。。。」と泣かれたことは1度や2度ではなかった。本当に無理をさせて申し訳ないと思ったが、私には悪阻の症状を軽くさせることはできない。ただ黙って手を握ってやるくらいしかできなかった。

悪阻の妊婦さんは激しい吐き気と、赤ちゃんのために栄養を摂らなければというプレッシャーの中で毎日大変な苦しみを味わう。ゾフランで安全に吐き気を軽減することができるなら、症状のひどい時に最低限服用するといった使い方で随分妊婦さんを楽にすることができるのではないだろうか。

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息子は昨日買った「おしゃぶり」を大変気に入っている様子。長時間吸っているので、それほど口の中に負担はないということだろうか。このあと、出社前にテープを貼り直してやる。昨日も一度貼り直した。これは平日朝の習慣になりそうだ。

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帰宅して妻に聞いてみると、お昼に娘と協力してテープを貼り直してくれたらしい。私の朝の貼り方が下手くそだったかもしれない。

今日の日中はミルクを飲んだらすぐに眠ってくれて、とても楽だったようだ。






その日中、妻の友達がお祝いにお花を持ってきてくれた。さらにベビー服にケーキまで。



そろそろ出産祝いのお返しの手配を考えないとなぁ。